松本蘭さんのコンサートを聴いて参りました
 今日は三連休初日ですので高速道の渋滞を予想し銀座でお買い物もと早目に出掛けたつもりでしたが甘かった5時間かかりまして、ぎりぎりセーフ!愛用の三越駐車場も入場渋滞アセりました。
明日から予定がある皆様、時間には余裕を持たれてお出かけくださませ。 

本題
松本蘭 ヴァイオリン・リサイタル〜赤と黒〜vol.2.@銀座王子ホール
出演:松本 蘭(vn)/塩入 俊哉(pf)

Program
第一部
サマータイム:G.ガーシュウィン オペラ「ポーギーとベス」より
愛の悲しみ: F.クライスラー
アヴェ・マリア:A.ピアソラ
Endless Journey :松本 蘭
タンゴの歴史 Bordel 1900:A.ピアソラ
  〃   Cafe 1930 :A.ピアソラ
  〃     Nightclub 1960  :A.ピアソラ

第二部
リベルタンゴ:A.ピアソラ
エル・チョクロ:ビジョルド
ジェラシー:ゲーゼ
エスクアロ:A.ピアソラ
アディオス・ノニーノ
ブエノスアイレスの冬:A.ピアソラ

アンコール
ラ・クンパルシータ:ロドリゲス
ロンドンデリー 
2956a23d.jpg
蘭さん(と書かせてくださいm(_ _)m)は1曲目が終わって直ぐに総てのアレンジをお願いしましたと
塩入さんをご紹介いただき、そして塩入ワールドをお楽しみ戴けると申され嬉しかったです。
でも、プログラム全曲をほぼ他の演奏者で聴いてきている私には、ヴァイオリニストならば川井さん、愛さん、枝並さん、とは微妙に、また大きく異なるアレンジが施されており塩入さんの弾き方も違う(これがいいのよね(*^^*))Ran Ver.です。
松本 蘭さんのワールドを新鮮な味わいで楽しませていただきました。

美しいアクトレスがステージに立たれ、己の二面性を音楽で演じている(演じてというのは語弊がありますがイメージです(*^▽^*)ゞ)

塩入さんのピアノのイントロがノスタルジックな感傷を乗せて流れゆく…蘭さんはステージ上手を見上げるようにすっと視線を斜め上に移していた。
さりげない動きの自然さと真っ直ぐに注ぐ視線にドキリと胸が高鳴る。綺麗な方に終わらない、ライトの陰翳もが魅力を謎めかせている。
余裕に満ちた表情が赤と黒(コンサートのタイトル)二面性を予感し、情熱的な部分をアルゼンチンタンゴでと)を演じる王子ホールのクラシカル仕様のステージが舞台であり、美しい佇まいで音楽を演じる、時にピアノのメロディを口ずさむ(演じられているのではないのですが(^^ゞ)女優のイメージに変わりました。かなり左側に置かれた譜面台も小道具に変身。
やがて導かれるヴァイオリンの音色はムーディー♪。慈しむ=愛しむ余韻が、夏が過ぎてゆく切なさを想いました。
蘭さんの印象を。このコンサートでBowingの音色と全体で感じた芯が通った透明な響きには、ため方の独特のテンポ運びがナイーヴな曲調に、より濃い陰翳が加わっていた。そして超絶な早弾きにも安定したクリアな音の正確さをとても感じました。

クライスラーの愛の喜びと一対になる愛の悲しみ♪
名曲ですね。「塩入さんのアレンジでこぉ〜〜んなに変わっちゃうなんて!(^^)!、シャンソンな感じ」と蘭さんが申されておりました。私このオリジナルアレンジがものすごっくお気に入り!
憂いのある3拍子は蘭さんのメロディのため方が、可愛らしさと艶っぽさを同時に絡める魅力に(ラストの決めがオシャレなパリジェンヌよ)ピアノの音色は一つとして同じ繰り返しがない。姿を変えていく魅惑のフォルム。この名曲を一度素に戻し再構築なされた表現の魅力が、ヴァイオリンとの対位な絡みを組み上げながら展開し、流れる心地よさは抜群です。主旋律はそのままに曲がこんなにも変わってしまうなんて〜嬉しい驚きでした!
時代性に左右されない斬新な解釈でのアレンジがやっぱり素敵!なんだか蘭さんご自身も楽し気に演奏なされている雰囲気を受け止めていました。
そしてさぁピアソラのアヴェ・マリア♪
まずは皆さまへの衝撃は穏やかに(*^^*)
チェロの音色で覚えているこの曲はヴァイオリンでより透明な音色を保ちながら曲の最初から最後迄神経が行き届いて心地よい緊張感に包まれ心が洗われていく。ヴァイオリンの調べがやや硬質なので、ピアノの極上の柔らかさと穏やかさをタッチで施し調和する響きが素晴らしいです。
初公開、蘭さん作曲によるオリジナル作品エンドレスジャーニー♪
私は蘭さんのアルバム「蘭ing」をここのところずっと聴いておりまして、バルトーク=とってもアクの強い辛口音楽家の曲が多く入っていますので、さぞや粘っこい系かと思いきや、とっても爽やかで明るい!曲。エールを送り続けるのですね。きっと。一曲のなかには様々シーンが用意されていてメランコリックな戸惑い、ギラギラっと沸くパッセージに弾かれ、中間のピアノソロではハンドクラップ?を入れてファンキーにしたくなっちゃうポップ、風を感じて…チェリスト古川さんの地平を航る風に♪をも想いました。古川さんもアクの強い曲の演奏を好まれるので、もしや心の内は…両者似ておいでるのでしょうか。
閑話休題
さあ一部ラストはピアソラのタンゴの歴史♪待っておりました。
初めて聴かせていただきました。「ピアソラが一音たりとも間違った音で弾いてほしくないと語った曲」とのことです。
っと蘭さんが仰るからには一音も間違って居ないと確信!Bordel1900♪から激しく細かい細かい。ピアノの効果音に歯切れのよいタッチで軽々と弾きこなすお姿は飄々とすら映る。タイトルに年度が入っているのでピアソラはその年度を背景に描いているのでしょう。
1930のカフェはピアノのイントロが退廃的な世相を表し、ヴァイオリンが哀愁を…ん?ピアソラですから緩急があります。その繰り返しにぞくぞっくとして、中間での美しいメロディーがピアソラ?っと疑うほどクラシカルな展開であり不安が無く、明るい。歌心をとっても感じました。っとウットリしていましたら、きたぁ〜〜ピアソラの血流!いや逆流かしら〜1960はNight Club♪
スゴかったです。ヴァイオリンの音色が真っ直ぐ心をグサッと突き刺す。ピアノも容赦なく…不穏な闇がずしっときたぁ〜そんな怖れた感覚の記憶しかないヾ(- -;)スミマセン。
全編ぴったり寄り添うDuoの一筆書き演奏は圧巻。
蘭さんの深紅のドレスが鮮やかさを増した錯覚と、床に目を落とす仕草にクラっときて、刺された後ゆえ悶絶でした。

生き返って(早すぎ??)
二部のオープニングは塩入さんお一人のご登場でリベルタンゴ♪
蘭さんをお迎えするスペシャルイントロ付きなリベルタンゴです。颯爽と現れた蘭さんは伸び伸び気持ちよく奏でている。うん!大階段を降りてくる宝塚トップの男役の如し〜(^^ゞ
塩入さんのピアノの音色が低音より軽めな中音中心でほんっと細やかに刻んでいたからかとっても軽快に進みつつ、メランコリックから盛り上がり、ぐいぐいと弾き切る迫力は説得力抜群です!
エル・チョクロ♪
微妙に塩入さんの和音が(他の演奏者との時とは)違っていて Ran Ver.と確信。タンゴのリズムがくっきりなのと、ヴァイオリンの超超速いパッセージが鮮やか&お見事で唸っておりました。テンポも速かったぁです。スゴい。
ジェラシー♪
蘭さんがジェラシーを抱くとは想像できませぬが、そうかぁ相手に沸かせてしまう悪女なのですね(*^▽^*)ゞ ジェラシーをプライドが遮り表にださない強さと実際には揺れる弱い心、己の心中での葛藤なのか、美貌ゆえに男性陣を振り回すミステリアスな魅力か。演奏を聴いていると両面を感じてしまう。つかみところのない浮遊感と感情の起伏の波のようにあらわれるダイナミックな表情がビシッときまる。やっぱり後者かしらね。
第一部のラストでNewピアソラを堪能し、さぁ今度は耳に馴染んでいるピアソラ作品オンパレードです
エスクアロ♪ではヴァイオリンのBowingでの倍音?重音がとにかく巧い。海底で獲物を狙うのは実はピアノじゃないかしら〜な、低音にぞくぞく。
アディオス・ノニーノ♪
ピアノのイントロが新鮮です。そして耳馴染みなメロディ。たおやかでしなやかな音の運びと目くるめく激しい音の連なりを対照的に弾く音に男性的な逞しさ!と惚れてしまうワタクシです。
ブエノスアイレスの冬♪
プログラムに書かれていた蘭さんの言葉「熱く、激しい。泥くさい、情熱的な私の一面」この会場の空間をくまなく埋める微細なニュアンスから分厚い豊かな響き、アナログとは想えない程の壮大に広がる音量と豪快な鳴り方に圧倒されました。華麗な音型を捌き急速なテンポでの走句では熱さもクライマックス。
そこにふっと送る視線の先。目力の表情でも二面性を発見し、音楽との両面をたっぷり堪能させていただきました。
アンコールはやっと心穏やかに、じゃないのよね。タンゴの名曲 ラ・クンパルシータ♪
まだまだ続いていくわよ〜?な。衰えないパワフルさ、エッジがきりりと立つきびきびとしたお馴染みのメロディ。古い曲ですのに、小洒落ていてイマジネーションが膨らむ現代的なアレンジにはゾクッと迫る旧時代の気配を演出していたと思います。
ラストはここで心穏やかにロンドンデリー♪
蘭さんの一面である情熱が少しずつ遠のいていく寂しさを感じます。艶消しされてロマンティックな色合いに移りゆく温かな感傷を伴って。
音色は心の奥底でいつまでも熱く触れています。


二部で蘭さんがお話なされた、ピアソラへの熱い想いと小松亮太さんとのバンドで培われたアルゼンチンタンゴの血流を得た演奏が、ピアソラのどの曲でも一本の太い軸が感じられて自信と意思をもって己での表現をきっちり与えていると聴きました。
塩入さんを第一部の最初の方で御紹介なされた際、「塩入ワールドを堪能していただけると」と申しておられました。ピアソラは私はNeo Classic 奏者で聴き続けてきています。塩入さんのサポートで。
でも、決して同じ音楽ではない、蘭さん色であり、生コンサートでのイントロ、曲での微細なテンポ感が総て違っています。それらを沢山聴き取れるのが私の醍醐味なのね。
様々な演奏者を支えている塩入さんのアレンジと演奏には蘭さんを自由に羽ばたかせる懐の深さがあり、塩入さんの存在を大きく位置付けていたと嬉しくもなったのです。

このコンサートでの狙いであったアルゼンチンタンゴ。
蘭さんでのピアソラは私は、意表を突く外面的な派手さ、テクニックばかりを誇示するのではなく、きっちり弾くことをベースに内省的な悲哀を熱く織り交ぜピアソラ独特の世界を妖艶に染めていく。温かな人間性から寄せ付けない品位を溜めての冷たい女性 or  ピアソラの毒気である側面を自分へと吸い上げて悪女へ、変貌を遂げていく快感。火照っていくラストへの高まりと決めのカッコよさは絶大。女王さま〜〜(*^^*) でした。
自由に弾け飛ぶ瑞々しい音のしぶき、表現豊かに情熱溢れ弾き分けると聴いていれば、ピアノのソロでは蘭さんはメロディを口ずさみ静かなる情熱の視線での女優目線が自然に出るのは、客観的に思考し自分の音をみつめながら心情を顧みながらであろう演奏に移っていくクールさ。これも私が感じた二面性=赤と黒のお姿でした。
心に受ける情熱と王道、美しい佇まいに見る演奏と冷静。対照存在の融合が
アクトレスヴァイオリニスト。
今迄私が聴いて来たヴァイオリニストの方にはない魅力と感じました。

女優…
このDUOでの目鼻立ちの整った息継ぎをも感じさせない滑らかに流れゆくアーティキュレーションと巧妙な強弱、多彩なアレンジだから、蘭さんの舞台でのお顔を音楽をもより立体的に鮮やかなメイクアップを施していた。、と記します。