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古川展生 × 塩入俊哉 Super Duo Live8.11.NAGOYA Blue Note

2nd Programです。
タンティ・アンニ・プリマ/A.ピアソラ
Fuga y Misterio /A.ピアソラ
悪魔のロマンス/A.ピアソラ

黄昏に/塩入俊哉
水のない河/塩入俊哉

時には母のない子のように/ Traditional
おくりびと/久石譲 arr.塩入俊哉

THE GATEWAY/井上 鑑
Ausencias/A.ピアソラ
ブエノスアイレスの夏/A.ピアソラ
ブエノスアイレスの冬/A.ピアソラ
リベルタンゴ/A.ピアソラ

アンコール
ジェラシー/ガーデ
約束/塩入俊哉
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赤いカクテルがステージに置かれている。
恋は革命名は塩入さんとライブ中古川さんがご紹介くださった。
情熱の赤は、アルバム、「ピアソラ新基準」ジャケットの色。

グラスに注がれた小ささが煌めきを、強いエネルギーを発していた。

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タンティ・アンニ・プリマでオープニング。
CDで聴いた時、純粋にチェロの音色の艶やかな美しさに気付き、目からウロコ状態となった私。イブではステージに釘付けですので、再認識できた驚きがありました。
さて、ライブでのオープニングでは塩入さんがイントロを弾かれる事が多いのですが、すっと始まる。
幸せなような切ないような、深いデリカシーが詰まった曲に美しく謳うチェロが無垢で純真な気を拡げていく。
自然の流れのごとく夜明を迎えた静やかさ。
古川さんが塩入さんとライブ活動を始められた2002年をとお話し下さった年月を重ね、これまでの歩みを慈しみ、今、塩入さんのピアノで感情の赴くままに演奏し喜びに浸る古川さん音色と聴き、しんみりと弾き終わりふくよかな余韻が優しく包む音楽には、心という大地に温かな光が差し込む、穏やかな音は間違いなく私達を魂ごと掴んでいました。
お二人の演奏には余裕すら伺えました。
Fuga y Misterio
さぁ行くよ!待っていました!勢いよくチェロがフーガを煽る。軋ませる。グルーヴ感は維持しつつもバトルが熱い。グルーヴ中間でのホッと息を付くメロディもミステリアス。お二人が距離を置く音色で孤独の影を落とすの。ラストに控えているフーガの嵐の前夜はそんな心境なのね。そして怒濤へ突入。チェロが超高速で弾き進む音にぴったり添っていく絶妙なピアノがスゴい。しかも重厚な音であることが、チェロの高めの音を軽々しくしてはいないのよ。全体をがっつりまとめる低音。そこも大事な聴き所と思います。
私この曲は以前から超お気に入りなのです。タイトルのフーガの通り、クラシック色が濃いのも理由。古川さんが以前お話なされたクラシックと他ジャンルでの奏法は切り替えるのだと。この曲ではクラシックの音色とピアソラのエネルギーをどのようにMixし、クラシックにもピアソラにも偏ることなく曲そのものの味で演奏できるのかが醍醐味。クラシック出身のお二人ならば可能な曲と思うのです。テクニックを要する土台、それだけでは足りない彫像を創るような彫りの深い音の味。クロスオーバーなジャンルだからこその的確に曲の旨味を焙り出し、技術と感性で自在に操る曲想が、DuoでDNAの二重螺旋構造を決して崩さずに正確に描き絡み合っていく。これこそが、ピアソラのDNA遺伝子伝達Duo!
炸裂したフーガで拍手喝采。
優美な悪魔のロマンス
幾度となく書いてきました、悪魔は→バンドネオン→ピアソラ。 ピアソラの心の分身、バンドネオンがロマンスを語る。チェロのピチカートとピアノソロ(即興かも)も聴きのがさないわよ。続く極上の甘美なメロディにチェロの響きの粋があり耳と心を離しません。
愛の語らいには、ピアソラもロマンティストだったのでしょうね。

塩入さんの作品コーナー(勝手に名付けました)
黄昏に
曲説はライブで塩入さんがお話くださいますので聞いていただきたいです。
間奏のニュアンス?かしら、毎回違うように聴こえてきます。私達が聴きながら描くノスタルジックな回想は毎回違うので変化すると思います。
”黄昏に”のタイトルで色彩と詩情に満ちたチェロのメロディは心にナチュラルに融け込む響きの柔らかさで丁寧に語られ、古川さんのテンポのゆれが一本調子でないところに黄昏の色合いもゆるやかに変化していきました。時と念が音の色彩で流れていった曲でした。
水のない河
ピアノのイントロが優しいです。しかし、水無し河の奥底に流れている水は激流です。ダイナミックに弾き粘っこいチェロは激流のピアノで昂っていき巻かれていく。とどめの終結もずしんと響き渡りドラマティック極まりない曲。ドロドロ系(水は清流、ピアノの音粒の輪郭がクリアなので)or サスペンス系のドラマの主題歌にと願う私です。

古川さんのお話です。
オリンピックには音楽の世界と通ずるものがある。 でも音楽は感情を表現できる強みがある。続けて行かれる…等のお話に、曲の背景にある想い、自身の感情を音色で伝えることが出来、感動を呼ぶ音楽家には、心を動かす音楽のちからも必ず備わっていると強く確信しています。

時には母のない子のように
久々の曲かも。懐かしく聴いていましたが、塩入さんのピアノアレンジが微妙に変わっていて、今なんですね。続いているお二人の活動が実感できて、嬉しさが込み上げました。
おっと、曲はむせび泣くチェロの音色が沁みます。CDより柔らかさが増した感を覚えました。
おくりびと
主演の本木さんがこの曲を弾かれた映画のワンシーン。私の住んでいる風景と同じ〜。と毎回思い出します。いえ、バックに映った山脈は私のところの方が近いわよ(笑)

後半はタンゴ攻め。幕開けはまずこの曲。
THE GATEWAY
古川さんは弓がケバケバに逆立つほどの熱演。メロディに加え、中間のアドリブ的な部分はぐっと重く不穏なのが、狙いを定めた音の熱視線。私達は身動きできません。またずっと聴き続けてきた曲でテンポがより高速化していると聴きました。どうかスピード違反で捕まりませんように。
そしてお待ちかねピアソラはAusenciasから。
「アコーディオンの音色がセンチメンタル」と書かれたライナーノーツの如く、忘却もかぶるメロディと、私はアコーディオンの和音に一音が重なる響きに鳥肌立ちます。ピアノでは表現できない余韻です。対するチェロはアルペジオ?で上下を刻み二つの楽器だけなのにメロディもシンプルなのに、チェロの瞬発力ある広がりが音の立体を作っていて、不思議な、ピアソラなら不気味とも取れる音空間が生まれる。そこに何があるのか、覗き込もうとするならば、ラストの刺激的なアコーディオンの和音で一撃をくらいます。
ブエノスアイレスの夏
酷暑には熱い曲が一番効果あり。
さてヴィバルディの四季も私は夏が好き、ピアソラも。ライブで聴かれて嬉しいです!夏ですので水を得た魚のようにスイングし跳ねる。スコアをピョンと飛び出してピアノとのグルーヴ感を自由に泳ぎ回るチェロ。スゴければスゴいほど即興的とも聴こえるピアノが生み出す多彩な表情の音が舞っていました。
好きな曲ほど…… 古川さんがライブ後は松本へ向かわれるとのお話で、CDにこの曲が入っていなくて私は有り難いのかも!?…スピード違反はもとより、のめり込みすぎて事故る?キケンを孕んでいる、曲に運転がいえ、感情が左右されるワタクシなのでした(笑)
ブエノスアイレスの冬
余情的なメロディが極上。重厚なリズムから活き活きと情熱的なチェロにクライマックスに向かう駆け上がる絢爛なピアノは圧巻です。
冬を耐え待ちこがれる春への喜びのエネルギーが豪快に注がれ、心の躍動へ繋がっているのだと幸せに包まれます。
そしてラストはリベルタンゴ
イントロがアグレッシヴです。今迄のグルーヴ感を損なうことなく、リベルタンゴでは自由を謳歌。駆け抜ける高速ドライビングが鮮やかでほんとにほんっとにカッコイイ〜〜♪

大拍手の中、アンコールは大好きなガーデのジェラシー
まず、チェロのイントロが素敵!曲の至る処で登場する上下する滑らかなパッセージがチェロとは思えない古川さんの指さばきで滑らかに届く。そしてなんとも優雅でゆったりとしたピアノのメロディが掛け合い、ジェラシーなのですが、お二人楽しんじゃっている音色に聴こえて。
そうか。演奏者同士でしかわからない音楽感性の妙なのだと気がつけば、 判らない私達のジェラシーなのですね。
約束
聴いているだけでハートの気持ちの幸せをお福分けしてもらえるような夢心地なメロディですが、 「約束」あんど「願い」という言葉の重みを曲説とでずっしり感じた曲でした。皆様それぞれに背負っている人生の重みの言葉と受け止め、音楽は続けていかれるのですから、応援しつづけていきたい。私には応援できる喜びを得る曲となっていました。
音楽を続けていくことは日々精進することでもあり、素人が書くには憚られる大変な道であると予想がつく。
進むためには、音楽も己も身体、精神と向きあい、見つめざるを得なくなる。
進みたいから 正面から堂々と向きあっている。
ピアソラ新基準 音楽を進むために進化させるために真摯に総てと向き合うお姿と魂の音があるのだと思いました。

ありがとうございました。
takako.