Piazzolla's New Standard Live in Tokyo 定価¥2,500(tax in)[AQCO-0014]
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ソリスト、東京都交響楽団首席奏者でありながら、ジャンルを超えて精力的に活動を続けるNo.1チェリスト古川展生と、数々のアーティストをプロデュースしてきた”悲しみを癒すピアニスト”塩入俊哉による、初のDuoアルバム。
渾身の全13曲。

1. Ausencias
2. タンティ・アンニ・プリマ
3. Onda Nueve
4. 南へ帰ろう
5. Fuga y Misterio
6. オブリビオン
7. Triunfal
8. アディオス・ノニーノ
9. 悪魔のロマンス
10. ブエノスアイレスの秋
11. ブエノスアイレスの冬
12. ミケランジェロ’70
13. リベルタンゴ
Artists 古川展生(Cello) 塩入俊哉(Piano & Accordion)
※ALL 作曲:Astor Piazzolla/編曲:塩入俊哉

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ワタクシのRevueです。

お初と申しますか、あまり取り上げられてはいないであろうお宝曲.1.Ausencias♪
アコーディオンがセンチメンタルな風を運びます@ここはヨーロッパの街角。
チェロの柔らかな起伏とアルペジオなギター風味が街路樹をしなやかに揺らし哀愁ながらも和らぎをも行き交うひとときを演出しています。でもそこはピアソラ、ドキっなAccoのラスト、強烈な不協和音は警鐘なの?その先を追いたくなる鋭利な響きがいつまでも残ります。ピアソラなのだ。どのような世界が開いていくのか。
アルバムへの心の導入的役割も聴きました。
そして古川さんのチェロと塩入さんのピアノがさりげなく同時にすうぅっと降りてくる出だしで。
2. タンティ・アンニ・プリマ
Duoの阿吽の呼吸に納得し、この曲のメロディアスな魅力がチェロで憂い心に響き渡ります。大らかな幸せに包まれますがどことなく切なさも被るのはピアソラならではでしょうか。
3.Onda Nueve
曲の意味は全く存じませんが、転げ落ちる音もリズミカルに跳ねまくり一音一音の粒立ちがキレイ。擦り上げるチェロと攻めあい続けるかと思えば、同時に嘆き堕ちる。堕ちれば堕ちたで這い上がりが両者徒者ではない。挑発されたように熱く絡まっていく後半も圧巻。体中が火照っちゃいます。
一曲目のAusencias@ヨーロッパはパリの街角、ひとときでの思考の答えは”4.南へ帰ろう”と。
まろやかで深みのあるチェロ音色がウエッティに絡ませながら郷愁の念を滲ませている。人間の声と聴くチェロが温かくも哀しい。次第に重厚さを増すピアノに深く身を置けば、調は弾みを付けるタンゴへと。色々なシーンがノスタルジックな調べに回想を重ねています。
5. Fuga y Misterio 
フーガ=バッハを彷彿させるクラシックが濃い曲。この曲でクラシックでのテクニック、リズム感に音楽感性の両立を如実に感じ、クラシックとタンゴピアソラの世界を片寄ることなく最大の魅力を引き出して表現できるDuoであること、Duoも技量が対等でなければ生まれない曲の世界であると思う。優れた演奏の妙がフーガの螺旋でピアソラのDNAを編み込んでいきます。
6. オブリビオン
ワタクシ、死ぬほど好きな忘却♪泣けるのよ。チェロもピアノもご自身の音で忘却をみつめている穏やかな眼差しが宿る曲と聴いています。抑えめな侘びのメロデイの美しい響きに陶然となります。
7. Triunfal=勝利
まさに今勝利の女神が来た!スポーツで勝利した瞬間に即興で盛り上がっちゃった〜な感じの曲。ラテンな音に熱気に浮かれてもバランスは堅実。演奏後はやかましいくらいに(笑)沸き上がる拍手と歓声を予想しました。
8. アディオス・ノニーノ 
亡父への鎮魂歌ですね。恐ろしいまでの慟哭から救いの美しいメロディーの緩急が明朗に描き分けられていて訃報が届きひたむきにこの曲を書き上げた彼の姿を思い浮かべます。そして再現される真っ向から想いを受け止めた演奏には新たな感動で私達のインスピレーションを刺激します。生きるエネルギーさえも沸き上がります。
9. 悪魔のロマンス
古川さんがライブでお話なさる「綺麗な曲なのに、何故悪魔なのでしょうね」通り、甘美なバラードです。明朗な響きに心が洗われていくうちに純粋な想いだけが残りませんか。ピアソラのロマンスにおける願い?なのかもと思います。

ピアソラがビバルティの四季♪を意識して書かれたという、ブエノスアイレスの四季。
ヴィバルディのクラシックの調和で奏でられる正統な四季に風景が思い浮かべば、ピアソラは、ビバルディを対極に置き、ブエノスアイレスの四季を複雑な地形と混沌とした社会の無秩序さを喜怒哀楽を色濃く交えて表現しているようにも聴こえます。計算尽くした不協和音、破壊、緩急、総てが存分に織り込まれた超大作です。季節は秋と冬が入っています。
リズムも落ち葉のごとく舞い降りる急降下なパッセージの音に、ブエノスアイレスの秋は短いのかしら?と単純に思うワタクシ。秋のメランコリックさも対比させた緩急のメリハリ、細部に渡り一音一音のエッジがキレイに立ち…鳥肌も立ちます。冬は…静ではないピアソラ。前半では社会の不穏さと感傷を聴きます。が、一転。みたことがない雪が降ってきて大喜びしているブエノスアイレスの人々(笑)を私は見ている、南国の陽気さで明るくはしゃぎ、そのエネルギーは音色でも存分に発揮させ春を迎える喜びで繋がっていく。ラストはピアノのトリルが可愛らしい。笑い声が残っているよう。
…脱線しましたが、もうもう七変化に変わるDuoの表現を堪能できます。
…どの曲もDuoとは思えない音の振り幅、多彩な音色、表現の豊かさ。スゴいです。
12. ミケランジェロ’70
擦りあげる強烈なノイズ(こちらはゾッ!としますが古川さんは軽やかに楽しげに弾かれる。(好まれる音色?なのかしらね)曲中でもチェロの軋む音が小気味よく感じられるほど疾走する。聴いている方も前のめりになっちゃう逃亡者な気分。スリル満点。風を切って疾走する超かっちょいいこの曲を、フィギュアスケートで聴いてみたいわ。
13. リベルタンゴ
ノリとか勢いに流されない腰の据わった駆動力で自由を満喫できる曲。流されないのはピアノがベースの音を低音でがっつり入れているから。低音、中音域、そして高音と、手が三つあるのではと聴き違う程のレンジの広いオーケストラなピアノもすごい(ブエノスアイレスの四季も同様)
チェロが激しく軋む音で攻めれば中間のピアノソロは真珠の粒が転がるように煌めく音の対比も聴き応えたっぷり。
踊れないタンゴのピアソラと言われますが、ダンサブルに聴こえて踊り出す方もいるのではと願います。

聴く程に、計算済みな不協和音じゃないですが(ピアソラの) (笑)、計算尽くされた演奏の構築、Duoが愉しくて仕方がない!といわんばかりの音色を想います。
はい、聴いている私が楽しくて愉しくて仕方がないのですから。

今迄ピアソラの曲は不穏で破壊的、強烈なビートで攻めまくられ…コワかった。
と、聴くにとどまっていた。
新基準では、心弾み、心が踊っちゃいました。

ピアソラは"踊れないタンゴ"と評されました。肯定で考えましたら、ピアソラはタンゴ曲は踊るより、思わず耳を奪われて踊りが止まるほどに曲を聴いて欲しかったのではないかと気付く私がいる。
このCDを聴いた事でです。
タンゴ曲はイコール、ダンサーのバックミュージックであったのが、ピアソラのタンゴでは心が踊り、一番は楽曲として確立したタンゴに聴き入り心奪われ聴いている。バックミュージックで終わらないタンゴの曲としての素晴らしさを残していた。クラシックの要素など含む高度なテクニックを要する構築の深さに演奏者を惹き付ける魅力があるのとも思う。それらが私達の喜怒(はMin・笑)哀楽をMaxに震わせる。

渾身の音色には自任を得て『新基準』と標され、誇りを持った古川展生×塩入俊哉というDuoだけが居ました。
是非、思う存分楽しんでいただきたいと願います。
takako.