バイオリン・ミューズ 川井郁子の世界
スペシャル・コンサート@YAMAHA HALL

川井郁子(作曲・バイオリン)塩入俊哉(ピアノ・キーボード)最上峰行(オーボエ)大儀見 元(パーカッション)

第一部
水百景
ゴールデン・ドーン
パッション・イン・ブルー
ブルー・ティアーズ
ブルー・バード(M1)
追憶の海〜映画「北のカナリアたち」メインテーマ〜(M11)
エル・チョクロ:ビジョルド

第二部
オブリビオン:A.ピアソラ
ミスティ・フォレスト
ボイス・オブ・ザ・ウエイブス
ホワイト・レジェンド(白鳥の湖):チャイコフスキー
ザ・バイオリン・ミューズ(シャコンヌ):J.S.バッハ&ヴィタリ
エスクアロ:A.ピアソラ
チャルダッシュ:モンティ

encore
リベルタンゴ:A.ピアソラ
The Red violin(アランフェス協奏曲):ロドリーゴ

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席に着きプログラムを広げる。上記へアップしたヤマハホールConcert Seriesに記載の曲は、インスティンクトラプソディー♪と夕顔♪に北のカナリアたちのメンテーマ♪とありました。メインテーマは外せないとして、
他は 全然違う。にまっ(笑)
このメンバーでの演奏したい曲になったのでしょうかと想像。さらにアナウンスで、曲順の変更も流れる。
にまにまっ(笑)川井さんの意向?自由に弾きたいのかしらと心が弾みました。
ステージセンターとピアノの位置の仄かな明かりに。ベースとピアノのバックで弾くのだと判る。早川さん、塩入さんそして川井さんご登場
水百景
ピアノが動きだす生命のささやきで水面へ問う、ワルツの如くにゆらぎ水の流れに生物が踊っている楽し気な水百景。水色のドレスがバックの光の放射と相まって光で揺らぐドレープに水面の答えをも思う。
振り幅大きくホップ・ステップ〜とぐっと彫るピアノとヴァイオリンのリズム感を支える早川さんのウッドベースは、柔らかな音色に優しさを聴いていた。
どことなく今迄聴いてきた水百景と違いません??気のせい??いいえ、川井さんの微笑みを浮かべながらの演奏に今日はこんな感じでいくわよと予測して。こちらも笑顔で応えたい。
これがライブの醍醐味。
ゴールデン・ドーン雲が浮かぶバックの景色。
この曲から私は初めて聴かせていただいた大儀見さんのパーカッション登場。
席が後方でしたので楽器はわからなかったのですが…(近くても判らない…多分) コンガを左手で叩かれ、右手はドラムのシンバルを叩いているのが多く見られたのです。
…コホン……お写真では大儀見さんとっても恐そ〜な方に見えて。ですのに、音色が柔らかいの!びっくりしました。シンバルの音が、まるで羽音のように繊細に動き響き渡る。仄くらい夜明けと翳り、沙漠の冷ややかな空気を静やかに開いていくピアノとヴァイオリンの荘重な響きにパーカッションがポエジックに語っていると聴いていました。
驚きを持ち越しながら、コンガをばりばり叩く音でアタマが覚める。ノリノリな パッションインブルー
赤く染まるステージ色にブルーのライトが射し込む。妖艶な音色に気持ちが伸び伸びと気持ちよく乗るので、ヴァイオリンがなんとも颯爽とカッコ良いのね。そしてこのメンバーならではの聴き所もちゃんと備えてくれるアレンジが嬉しい。
まずはベースのソロ。ピッチカートが軽妙でいてJazzyなリズムはヴァイオリンでは伸びやかな歌う音でしたので、対照的で変化が楽しい。
続くはピアノ。もう水を得た魚のように鍵盤の上を跳ねまくる音色。ですのにコンガにシンバルに細やかな音もベースもちゃんと聴こえるのよ。この調和がすごい。ピアノの音色ごと透明で曲の世界を読んでいる。高揚しても流されない律する力のもととも思います。
聴いている私達ももう心はノリノリで。いや〜〜ん〜〜いいなっ(笑)
ブルーティアーズ
懐かしさに胸がきゅんとなった曲と。失恋の思い出で書かれた曲。女性は過ぎ去った恋で思い出す事はあまりないですね〜と川井さん。会場から笑いもおきました。そうですね。女性は現実派かも(笑)
バラード系かと想像すれば、違います。リズムが8分の6拍子??ミロンガ風。キュンとなった瞬間に蘇る思い出が走馬灯のように映し出され陰翳と苦渋がモザイク柄を描くように絡みあう。そこに過去の方登場はオーボエ!なの?ナイスなタイミングでソロが聴こえてきます。哀愁が、西洋チック。
舞曲な底辺を3人がきっちり刻み、終盤でのヴァイリンの哀しげな優れたアプローチがすごく綺麗で、歌心を聴き沁みました。
ラストでうなだれる川井さんのお姿も曲と一体化しました(それでも失恋がどうしても川井さんと結びつかないワタクシでした)
映画「北のカナリアたち」からブルー・バード
雪景色に佇む吉永さんのイメージで川井さんが作曲なされた曲。
シンプルなピアノが固く深い雪に覆われた大地。ヴァイオリンが鉛色の空を飛ぶ鳥。佇むその姿の静な内面には大きなドラマが待っている。その側面をぐいぐいとアプローチしていくピアノの荒波がドラマティックな展開へと導き、ヴァイオリンの動な哀調に染まる音を引立たせていた。ベースのBowing に音色がチェロ、人の声に聴こえて遠近感もあり、ヴァイオリンの音色がオーボエへ繋がっていく崇高な音に瞬時ほっとしていたワタクシでした。 吉永さんという女優さんの人となりが高潔な音楽に映し出されるイメージでした。
追憶の海
北のカナリアたち メインテーマです。 公式HPのyoutubeで聴いた第一声(というのかしらん)だけバッハのシャコンヌを思いました。でも展開は変化球満載。ソロでは哀調と技巧の重音が心へ直球。色々な感情が複雑に交錯する音楽なごとく、起伏に富み琴線を翻弄する。静謐から慟哭。艶やかで歌い上げていても命の影が深く忍び寄るひんやりとした虚無感が隣り合っている。音のない間にも息を詰める緊張と中間部に置ける温かな弛緩。一曲の中に沢山の場面が表現されていて、翳りが残るメロディに秘密を予感し、サスペンスな映画が楽しみです。
エンドロールで流れますので、席を立たないようにとのお話もございました。
激しく多種な感情の要素を含み一曲で纏める音の連鎖と構築が演奏も含めて今更ながら素晴らしい。ラストで川井さんのホッとなされた笑顔と拍手をいっぱい贈る塩入さんでした。
一部ラストはエル・チョクロ
アルゼンチンタンゴです。ヴァイオリンの色香が素敵なソロから、シャープで鋭い音色にお客さまはもう狙われた獲物状態。金縛りで動けません。 今日のこの鋭い音色は頬がすっと切れてしまいそうなほど鮮やか。映画曲を演奏なされ緊張から解き放たれた?フレキシブルな演奏とエレガントな姿にブラボー〜です。

第二部は真紅のドレスでご登場。
オブリビオン
ピアノは伴奏&オーボエは主旋律でのDuo始まりに、わぁ〜素敵♪映画を観ているよう。情景を。(あっ存知ませぬが)メロディアスな旋律をフルに生かしたアレンジですね、と思えばヴァイオリンは少し違うニュアンスでのメロディとパッセージ。気品高く兎にも角にも美しいオブリビオン、心のひだを揺する音楽を物語る川井郁子さんVer.に魅了されました。
自然をテーマにした二曲。
ミスティ・フォレスト
オーケストラと共演しましたら木のイメージが深い森になりましたという曲。オケとレコーディングなされた曲がこのメンバーでの世界で聴かれるのと嬉しくなりました。タイトルは変更なしよ。
塩入さんはシンセへ。ハープ?弦楽器?の音色は森に射し込む光線でキラキラと輝き自然の色彩を表現し、時々木立ちを現せる。すっと絡まっていくオーボエが時には小鳥のさえずりともなってヴァイオリンと会話を交わす。パーカッションが空気と風を送る。小さなモチーフの音色に細やかな施しが次々と開けていって、おとぎの国に迷い込んじゃった、進む程に自然の精と戯れている神秘なファンタジックな世界へ誘なわれた幻想。
失礼な表現かもですが、凝っているのですがとても可愛らしい曲へ変貌!
このままそっとしまっておきたくなっちゃう。この世界に行きたい時、また曲のフタを開ければいつでも出会えると。
幻想は続きます。
ボイス・オブ・ザ・ウエイブス
海の中の情景。塩入さんのシンセはシンセの音色に変身で壮大な神秘の世界を緩やかに動かしていきます。
オーボエの音色にはどこか懐かしく穏やかな故郷の海を遥かな記憶に思い、ヴァイオリンの美しいカンタービレが澄む程に海のひんやりとした体感を覚えていました。ベースとシンバルが立体的な大きさを、メロディの交替の変化がナチュラルなのが余韻を味わい深いものとしていた。
静謐な調べは緩やかに流してしまいがちになるメロディにも、聴きどころが繊細な部分にあり必ず耳が食いついていく感覚は心が大きく洗われる。
はぁ〜息をするのも勿体ない。

チャイコの白鳥の湖をアレンジなされたホワイト・レジェンド和のイメージです。
着物姿で演奏なさる川井さんを妄想。シンセは和琴の音色でしょうか。典雅なアルペジオに、今迄もこの曲を聴いてきましたが、変化している〜と展開にわくわく。ステージバックには光の羽が開いていく。
ベースがつま弾くふわりとした低音、時にパーカッションがアタックを入れて。シンセの琴のアルペジオとヴァイリンの薄く高い弦楽器の響きとオーボエの艶やかな木管の主旋律、これらの響きが濃厚に微細に呼吸しあう生演奏が、私の音感覚は、総てがひとつとなって木管楽器の響きのように聴こえてきたことにすごく驚きました。
すみません、良いのか悪いのかわかりませぬが、この初感動がすごく嬉しかったのです。ホールの側面の木も床も一緒に聞き耳を立てている温かな気も生まれていました。
この曲もそっとそっとしまっておきたい(もっちろん私の心にね)
ヴァイオリン・ミューズ
シャコンヌの合作。前奏からがつんとドラマティックな曲。
パーカッションのボレロ調に乗る川井さんの途切れることのない細やかな調べ、真っ赤な炎がふつふつと沸く。そして尺八で聴いていたメロディをオーボエが奏でます。柔らかな透明な音色にふと心が休まります。活き活きとしたエネルギーに充たされながら悠然と進む曲に私達の心にも力を与えてくれますね。
ブラボーの声が上がりました。
興奮そのままにアスクアロへ。
鮫です。追われます。逃げ回ります。パーカッションが煽ります。ライトもぴかぴか点滅〜
でも鮫は冷静な目で冷ややかに見ています。ヴァイオリンの重音がそうなんです。そこが曲に表現されているのでコワい。ピアノ、ベースの絶妙なリズム感に楽しくもヴァイオリンと一緒になっての突発的な音色にぞくぞくっとなっている私です。
この攻めてくる音の距離間が演奏者どうし、また私達とのスタンスが知的で巧みな音劇を演じている。皆さんに役者を感じました。
ラストはチャルダッシュ
ゆる〜く遊んでいる(いえ、遊んではいませぬが)前半から超高速が堪らない民族舞曲。川井さんのその超絶技巧の早さと言ったらもう目が廻る。ワタクシはトンボの目状態。
急展開を知らず、中間の喜び溢れる明朗な響きは色艶いっぱい。そして川井さんの粋は、ラストに差し掛かる急発進をどう進めるか。指揮者の如く後ろをすっと向かれ(ヴァイオリニストの後ろ姿なぞそうそう見られるものではございませぬ)いくわよと、ゆる〜く落とし急展開へ持っていくところはさすが。
唸っちゃいました。
ブラボー♪立ち上がるお客様多数!! 拍手喝采、盛り上がりでアンコールへなだれ込みます。
この気をがっつり受け止められるのはリベルタンゴ
鮮烈な演奏の中で、ベースがにゅわ〜〜んと擦り上げる音が艶かしくてぞぞっときました。
続くピアノのソロ、下から上がって上から下がっていく(スミマセン)大好きなパターンが嬉しかったのでした。シンメトリーな連なりが揺るぎない歯車で自由に回り芯がぶれない。心の中に安心を置けるのですね。即興ですので滅多には聴かれないのです。

ピアソラで自分らしくやっていこうと決めた川井さん。
ザ・レッドヴァイオリン証の曲でもあるのですね。
今やフィギュアスケートで引っ張りだこの大ヒット曲と言ってもよいのでしょうか。
直接生演奏で聴かれる嬉しさ。しかもSEの音なしの生音! それはね、塩入さんがギターをシンセで弾いてらしたので。ギタリストに変身なされていました。パーカーションの鮮やかな切り込みな音も刺激。オーボエも歌う箇所ではうるっときました。ヴァイオリンは突き進む激しさ切なさも深く磨かき抜かれ、超える淑やかさがほんのりと薫り立つような響きと思いました。
11年前とはまた違った、研鑽を積まれた音楽実績に裏打ちされた音楽家達による円熟の極みが、生で表現でき曲に奥行きと柔軟さをもたらし、えも言われぬスケール感を醸し出していた。
Quartet4人での演奏で作る世界には細やかな所に斬新さが満載。 大満足のコンサートでした。

川井さんはヤマハホールでは初めてのライブとお話なさった。そうか以前は旧ホールでしたね。
クラシックが主で他クロスオーバーなジャンルも開かれているでしょう。ホールもこの音刺激に喜んでしまう、斬新なスタイル、 Creative&Collaboration のジャンル。そっとしまっておきたい曲と思いましたのは、オリジナル曲も次々とフォルムを変えて斬新なエッセンスをすっと流し込む創意工夫をもって必ず聴かせていただけるから。
コラボレーションが高度なセンスを集結させ技を利かせ、クリエイティブという難関を突破していくアグレッシヴな音楽家たちに拍手拍手。
Concert Seriesに書かれたまさにそのもののライブでした。

ありがとうございました。
takako.10.10.

徒に長い文章となってしまいました(汗)自己満足です。