『塩入俊哉 soloピアノコンサート 2012秋 』
11月13日tue.@Jz Brat Sound of Tokyo
Members:塩入俊哉(p)/ 楯 直己(per,voice…) 

Program
1st のオープニングは1st Album君のいた夏 ラストの曲。
 Until today〜Piano Solo Live Ver 〜(オリジナル進化形でしたので。ん?全曲このライブ用に味付けが施されてもいました。)

 夕暮れと遠い日/2nd
 黄昏に 

夏をイメージ
 君のいた夏 1st&2nd
楯さんのまん丸な弦楽器弾き語りsoloから
 LOVE AFFAIRS /CENEZOIC

日本テイストな曲 自由が丘の犬♪ではなく
 桜の時に/2nd
 赤とんぼ with楯さんの歌

 ビオスの丘で/with チェロver.はベストコレクション

2nd
 月の光と鏡に/1st

 海風の約束〜Promise〜/1st  
 LAST CALL 〜記憶を消して〜

 夢のしずく/2nd Piano Solo

 追憶のオペラ/2nd
 TOKYO 3a.m./2nd

あの頃のままで/2nd

アンコール
 約束

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「メニュー見る?それともア・ラ・カルト?」
「ア・ラ・カルトでお願いします」
オリジナル曲の中から自由に私達が選曲しているようなお家空間に居ました@JZ Brat Sound of Tokyo
塩入さんのおもてなしは楯さんという自然の奥行きを広げるパートナーを迎えて。
二曲づつのイメージを揃えながら進行。
プログラムは勿論決められてですが、雰囲気は私達がチョイスしたア・ラ・カルト。
お客様は身内ですものね。

1st のオープニングは1st Album君のいた夏でのラストの曲。
Until today〜Piano Solo Live Ver 〜
さっかさんのフルート、八木さんのHarpとカーティスのライブでも聴いているこの曲がもっちろん今宵ソロライブだけのスペシャルVer.です。
間奏の部分が特に主旋律に添い夏の名残の微風がまるでカーテンの裾をひらひらと揺らす音が…と聴いていた。センチティブで透明な音の流れは、今日まで…と、幸せな時をせいいっぱい愛おしく輝かせていた。デリケートな曲ほど、塩入さんのタッチ、クリアな響きでの音の粒立ちは他のどのピアニストでも聴かれないですし醍醐味なのと毎回噛み締めている。
1st Albumラストの曲でもあり、あぁ夏が終わった感傷も被ります。
おっとっと、始まったばかりですねコンサートは。アペリティフで潤いを貰い、塩入さんのお話も交えて、気分がリラックス。
楯さんをお迎えして夕刻色の前菜は夕暮れと遠い日&黄昏に
「同じ夕刻でもその時々で違うと感じて欲しい」とお話されました。
心象と風景は(私の感想ですけれど)単純に人の数
夕暮れと遠い日は主人公独り。目の前に人は居らず、自分を包む季節の気温、ぬくもりに想いを走らせ、記憶に人を想い浮かべている。星がきらきらと輝き始める夜が寄せる静寂の夕刻、過度の感傷に傾いてはいかない自分の心だけに留めておきたい記憶を思います。冷前菜です。
黄昏には景色の中に人々が動いている夕刻。暖かな日中の余韻をしっとりと残す黄昏色に美しい影を落としていく、楯さんの口笛がふっと我に返らせる。お家へ帰ろう。お家では温野菜が待っておりますね。
前菜は入り口でもありますので大事な一口がフルコースへの刺激となります。二曲の黄昏色を聴いたとき、前菜を見た時に思う、多種な素材が少しずつ、でもいっぺんに味わいながら心は弾んでいきました。多種な素材が少しずつ飾られていく前菜。
夏の終わりは始まりでもあるのですね。

MCではカイロのお話、夏休み後半の人生…で笑いまして。
この展開も愉快なおしゃべりですので、MCも変わってきたわぁと感じるワタクシです。
笑いを引きずらないよう、(*^^*)を引締めて(^〜^)さて曲へ。
夏へ戻って
君のいた夏
夏休み後半〜のお話の後でしたので、夏の終わりの焦燥に駆られましたが、躍動するピアノ、楯さんのカホン&ヴォイスとのセッションが心底からわっくわくを沸かせてくださいます。そして楯さんのまん丸な弦楽器弾き語りsoloから LOVE AFFAIRSこの曲の頃五行の本も読ませていただきました。
弦楽器ソロのラストの音で気がついたこの曲のタイトルと続くピアノの旋律で、笛の音とが織りなす光と影の情景にふっと忘れかけていたとても日本の響きを聴きたい、わらべ歌を。(わらべ歌は恐いのもありますのでそれは排除して)曲はもちろんシンプルではなく、曲に宿された豊かなメッセージが具現化し生命を蘇らせていく気が伝わる、身体が温まっていくのです。今日のメニューでは一番CDとアレンジも遜色ないと聴いていました。あんど、このアルバムでは楯さんも演奏なされたの?と思ってしまうほどリアルでした。
お魚のメインディッシュですね。
さらに和風の味付けで
桜の時に
雪が舞い上がる情景に桜の花びらを思う曲ですね。雪の情景で生まれた曲が、今夜は花から想起されたイメージ、桜を見ている春でと聴きました。可憐な花びらが春の風、メロディにそよぎ楽し気に語り合っている。まるで開演前オープニングを待ちわび寛ぐ私達乙女軍団のごとくを表現してくださったと(笑)
和テイスト、続くは楯さんの歌が主役の赤とんぼ
柔らかく優しい楯さんの歌声が悲しみと郷愁の念を忘れてはいけないよと伝えている。短い歌詞ゆえにぎゅっとつまった念が胸に迫ってきました。お二人の暖かな音色に救われて進めるのです。
フィッシュのメインデッシュの合間のグラニテは、赤とんぼも味わうでしょう抹茶のシャーベットでした。
一部ラストはビオスの丘で
耳に馴染んだピアノのメロディに鳥、虫、セミ達の鳴声が絡みのどかな自然を思う。しかし平和な語らいが次第に不穏な動きを見せ始め、穏やかな波の音が一変、荒波を立てる。戦火のピアノ、炎、怒り、恐怖、戦慄の叫び、激しく轟音を打つなか、主要主題が稲妻のように閃き描く戦闘の場面を想像させた。行き場のない怒りと耐えがたい哀しみに引き裂かれた苦悩の魂そのもの。その果てに訪れる一筋の光に救われる。螢の逢瀬。悲しいけれど慈愛の優しさを持って。
一曲の中に起承転結の物語を描ききる塩入さんの構築性と音楽に託す情感の深さを思いました。
お二人の演奏には単に外面上をドラマテックに描くのではなく、もっと、さらに、えぐるように内面を導きだす真剣勝負な響きだからこそ身体まるごと震えるのです。
大きくうねるド迫力の演奏にエネルギーを持っていかれる?摂れる?
まさに高カロリーな肉料理のメインディッシュ。
映画を見切った余韻の如く、休憩時間に入っても心は奪われたまま戻れない雰囲気が漂っていました。


ここでスープを。でも塩入さんのライブは凝っているので、スパイシーなお味でお口直しいたしましょうか。
2nd は1stアルバムから月と光と鏡に
イントロでは曲が判らず、メロディからあぁ〜この曲と。鐘の音いいわぁ。CDでは女性がスキャットのように歌われて。今夜は楯さん。全体がこの曲はほぼCDと遜色ないと感じていました。
ショパンにはセレナーデはないのですが、ここに聴いています(笑)そのまま幽玄の世界へご招待。絶え間ないアルペジオに乗るクリアな旋律、幽玄な大気にロマン的な濃さを広げ、セレナーデの唄の愛溢れる月と、地に映る光の鏡では逃れたい、解放されたい…ジキルとハイドに似た二重な人格が出入りする中世が。どことなくヨーロッパチックな味わいを思いました。1st アルバムの中でも色合いが違い神秘な感じが印象的で好きな曲です。
海風の約束
ライブで聴かせていただいたのは私は初めてかも知れません(間違っておりましたらご勘弁ください)。過去から現在を越えてさらに未来までも繋いでいくような純粋な音楽の魅力を聴いてきた。事実ファンで居られる今がある。CDにはPromiseと書かれてあり約束、その言葉のイメージだけを思うに私には自己を納得させる意味と、叶わない儚い夢とが伴うフィクション。でもこの曲を聴くと心に柔らかい部分があるのならすっと連れていってくれて、塩入さんの作品の中ではあっさり系であり可愛い曲でもあり、だからそこにテレ隠しが込められている?な気持ちを思い、純粋で無邪気な心とドッキングしリセットできる曲なのです。
最初のシンプルなピアノのメロディの余韻に、待っていてくれる安堵を聴き、呼吸が揃うのね。ここに居るよと。ドラマは架空で御馳走も然りと諭す現実に戻されそうな、でも日常を忙しく過ごす私達にそっとじかに微笑みかけてくれる曲、常に側に置いておきたいのです。
ですのでお料理の間中、またどの食事にも欠かせないサラダです。今夜は温かで彩りも鮮やかな温野菜。そしてドレッシングは果実の味と甘酸っぱさで野菜も主張したいので、バルサミコ酢をダイレクトに。うふっ、楯さんが適所適所で振りかけてくださいました。

サラダをいただけばメインディッシュもまた運ばれてきます。
Last Call 記憶を消して塩入さんの真骨頂とも言えるドラマティックな曲です。
記憶は楯さんのホーミーの歌声で脳裏に迫ってきます。呪文を唱えるかのような声に、
ぎゃぁ〜きたぁ〜〜〜ディジュリドゥの響きがぁ(ココロの叫び
未だにこの地の底から響く音にぶっ飛ぶわたくし。派手な音でなないのですが倍音にビビる。
これらのパーカッション等が広げる世界にピアノが奏でる主役のメロディが軽やかに融け込んできて、いつの間にかピアノが主となり、パーカッションは遠くで鳴らし続けている。楽器の距離の動き、その受け渡し、絶妙のアンサンブルとも言える演奏に私は改めて感動していました。このお互いの遠ざける縮める距離のタイミングで、心の陰翳と消したいけれど残っている記憶の苦悩と葛藤を弾く感情の起伏のゴージャスで絢爛たる表現を渾身の演奏でピアノが訴え、波を見守るようにPerは支える、主役は独りなのだ。ダイナミズムから翳りをおびてひとつにまとめていくモノローグとも聞こえるラストにも動悸は収まらないほどに感情がゆさぶられた。
ビオスの丘で対比する音の狂気の競演とは異なる幅を聴き、どちらでもそのバランスで飛躍的に表現が大きくなっている事を知りました。打ち合わせはなしとのお話ですので、どうやって合わせておられるのでしょう(ナゾ)

満腹満腹状態にMCのお時間。楯さんを交えた楽しいお話。
「ピアソラ新基準のアルバム、素晴らしいです!!」沢山お褒めの言葉をいただいたと。嬉しい!
このRevueを読まれてお持ちでない方は、買ってください。需要と供給のバランスは必要と考えますので。
濃いアラカルトプログラムにちょっと一息つきました。ピアノソロで夢のしずく
続くはメインディッシュのラストを飾るような追憶のオペラなのですがお話が盛り上がって笑いを引きずったまま…こんな流れは初めてではないでしょうか(笑)
でも息をするのを忘れてしまう程の熱演は、ラストでのずっしりな響きの終わりでペダルが離れると同時に沸き上がる拍手が讃えていました。
ひまわりという映画のシーンを私は想って聴いていても前半はかすかに笑いが残っていました、スミマセン。
そしてTokyo3a.m.は外せません。コースで言うならば主食、今日はライスにしぃましょ。和テイストを想います。風の音にも。
風景が動かない静な時間のTokyoの空に純真な音が漂い、神の自分を見つめる心の動が穏やかで優しい今夜のTokyo3a.m.。自分が愛おしくなるようなゆったりとした旋律線を大切に扱った感に、お気に入りのフレーバーティーも傍らに置いてあるのかしらね。

いよいよ終盤に突入。楯さんの演奏スタイルが(音色もね)存在感あって、仕草に笑いを誘うMC。でもね、開演前偶然、楯さんとちょこっとお話しできた際に、やはり耳と目に留まる多種のPerと音色なぞを嬉しく伝えましたら「総ては塩入俊哉のライブの一部です」と笑顔で申されました。この言葉に、塩入さんの曲で生かされあう楽器の距離を、自分の役目をきっちりと果たし絶妙のバランスを持ってお互いの感性で創り出されているのだと思い出していました。
爆笑MCの後でしたので、思いっきり色も明るいデザートなイメージ。ですのでデザートはカラフルなケーキの盛り合わせ。
曲は、あの頃ののままで
毎回書いていますが、NHK朝の連続ドラマの主題曲にしてほしい〜な曲。イントロもです。
目が覚めるように生き生きしていて、でも派手ではなく感覚的でもなく確実に身体の芯をほんわか温めてくれる曲。小さなケーキ一つ一つに細やかな装飾が施されている、こんなに多彩な音色で演奏なされていてもどこか落ち着いた華麗さとでもいうべきものがあるのよ、塩入さんに芯の強さや風格のようなものを私はこのコンサートで見て聴いていました。
アンコールは約束
ふくよかで優しくブレンドされた構築性に、しかも濁りのない透明感が両立しているピアノの音色。
ただただずっと聴いていきたいです。
ソロ・ライブが続いていきますようにとの願いを込めました。



オリジナル曲の中からとてもカラフルに、まるで私達が選曲したかのようなア・ラ・カルトメニューとRevueしましたのは、皆CD等で、耳に馴染んでいますので。タイトルを聞けば待っておりましたとなるわけです。
塩入さんはそのことを踏まえてらして。SEとかをフルに用いてのCDの再現ではなくライブVer.の装飾が施されたこと、ピアノソロに徹した巧みなメロディにはピアノはオーケーストラになる最大の魅力を生かし生かしきれる技量の裏付けと、伴奏をピアノのみに集約することで外せないポイントと、曲毎に入れた旨味をぐっと強調できるとも考えられます。また旨味を変えていく進化にも気付きます。そこに作品をより深められ、私達がCDを再度聴いた時の新たなる感動と発見も連れてくると想われます。
留まってはいない音楽の感性を聴く秘密の時間でもあったソロライブ。
もしかしたら、塩入さんは自分の作品に新しさを求めることで、次なるステップを上るきっかけを掴まれているのかも。
音楽は音符という素材がスコア上にあるので一見判りやすいのだか(いいえ、判りませんが・笑)、深読みするほどに作曲者は謎めいた素材を巧みに隠しているのではないかと気付いた今夜、
曲の誇張を解き、再度構築することで斬新なアレンジで今の時代に届ける音の魔術師はそのナゾを解き明かしているのかも知れない。アレンジなされるクラシックも そしてオリジナル作品でも。
ナゾが最大の魅力!?
うふ。まだまだ深そう

ありがとうございました。
takako.12.2.