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9月12日thu.@YAMAHAHALL 11:30-13:00
古川展生 × 塩入俊哉 〜魂のコラボレーション
PROGRAM
第一部
無伴奏チェロ組曲第四番変ホ長調より:J.S.バッハ 古川さんSolo
荒城の月:滝 廉太郎 〃

白鳥:C.サン=サーンス
愛の挨拶:E.エルガー
愛の夢 第3番:F.リスト
親愛なる言葉:G.カサド

第二部
夢のしずく:塩入俊哉
水のない河:塩入俊哉

ブルレスク:N.カプースチン
My Favorite Things:R.ロジャース
アディオス・ノニーノ:A.ピアソラ
ブエノスアイレスの冬:A.ピアソラ

アンコール
約束:塩入俊哉
 
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ヤマハホールは音が近く、音色と一緒に演奏者の息遣いまでダイレクトに伝わってくる極上の音空間に居ることができる。 一音一音に魂を注ぎ込む深さが崇高な波動でおしよせる古川さんのチェロはバッハを奏でている。
無伴奏チェロ組曲第四番変ホ長調より
よどみなく流れる和声をふくよかな繋がりでコントロールするテクニックと、細やかなパッセージは弦の音ですが、鍵盤楽器を弾いているかのような指先の軽やかなタッチに清楚なたたずまいを思い優しさが添う。とても優れた演奏であると嬉しさでいっぱいになる。
続く日本の名曲、荒城の月もチェロのソロ。
バッハ崇高なメロディの深い音色へ陰翳を落とした肉声でとどく音。@夜の城下町。月を愛でながら歩いていたら、城下町特有の迷路に迷い込んでしまった、と、ちょっとドキっとする展開も曲に思い、彫りの深い味わいを示していました。
チェロの響き、質感の違いが確実に感じ取れたのも記しておこう。ソロの二曲はその辺がポイントだったのかも、とも思う。
そして塩入さんをお迎えして、白鳥
耳馴染みのあるチェロの旋律もアレンジされたピアノの伴奏も曲構成での要素であるのに、このDuoになることで音色も弾み心がときめく絶妙のハーモニーに変わっていくのは媚薬のほかならない。昼間からスミマセン(笑)
もとい。夜のイメージをさらに払拭する、マチネのコンサートですので、愛の挨拶
ヴァイオリンで数えきれないほど皆さんも聴いておられますでしょう。チェロで聴かれるのも貴重ですし、なんかとっても良い〜。ロマンティックな調べにコクが生まれ、男性の包容力が加わった愛の挨拶はアグレッシヴに過ごそうと朝のスタートを迎えられる。 @ホテルにて朝食を素敵な雰囲気で美味しく味わった気分。
リストの愛の夢
イントロで既に夢見心地。耳に馴染んだ旋律が甘やかに歌いはじめる。チェロの艶やかな愛の音色は、透明感をもって響き渡りもうもう素敵。次々に華やぐ曲の流れはユリ、ガーベラ、フリージア、チューリップ、ラナンキュラス(他…読んでくださる方のお好みでどうぞ)を開かせ咲き誇っていく調べ。その高貴な花をブーケにして、指先の細やかなタッチでゴージャスに奏でるピアノがオリジナル模様のペーパーを作り心を込めて丁寧に一束づつラッピングしていく。エレガントこの上ない。ラストはもっちろん薔薇の花束をどうぞと。
そこにこのヤマハホールの音響の良さは、お一人様(ユリ?ナデシコ?向日葵?…薔薇?…ハスもあり?)だけのために奏でてくださっていると。だから受け取った薔薇の花束はもちろん私なのよ
……だれもが妄想に走ったことは間違いない

強敵出現、スパニッシュなカサドの親愛なる言葉
情熱のステップを踏む女性が見えるイントロに、お一人様妄想は砕けました(笑)薔薇の似合う美女がお出まし(妄想ですが)
チェロが超カッコいいんです。鳴りっぷりが生き生きして、細やかな早弾きには潤いがつづく音の連なりに耽美な美を感じてぞくっと目も回る。めまぐるしく鋭い切り込みをいれるのはピアノ。精度の高さに気迫がこもりがっつり組んでスケールの大きい終結に感嘆のため息もこぼれるおおきな大きな拍手で終わりました。
スパニッシュ独特の肉体的とも、官能が濃い情熱を余す事無く引き出す面白さにもライブならではの醍醐味を聴いていました。それにしてもカッコいいなぁ!
その余韻が二部を待つ楽しみへと気持ちを持続させてくださいます。

第二部は塩入さんの作品から夢のしずく&水のない河
「初めて塩入さんとご一緒した曲」とのご紹介がありました。
私が古川さんのチェロを聴かせていただいたあの頃を重ねて。メランコリックな感傷を息の長い旋律線で広げるほどに思いを秘めているしずくの存在が浮かぶよう。しずくをそっと胸にしまいこむ暖かな演奏でした。
水のない河はシンフォニーのように積み重なっていく劇的な展開、迷い無く豪快に弾ききる音、音の軋み、一つの作品の中にこんなにも色々な表情が映ろっていくものかと驚愕し、感動した思いに再びぐっとこみあげるものが、これが水のない河そのものでしょうか。

感傷に浸ろうとすれば、プログラムで見た初登場、初耳の曲がそこに。
天才的な作曲家、プレーヤーであるカプースチンのブルレスク
「カプースチンがJazzの譜面を見事に書いてある、塩入俊哉さんの素晴らしいピアノを感じていただけるんじゃないか」古川さんのご説明の一言で武者震いしたのはワタクシだけ??(笑)(何故にわたしがと突っ込まないでくださいませ。)
ぎょっ…なんじゃこりゃ!
のっけから古川さんの内蔵までえぐりとられる鋭利なソロにぶっ飛び、Jazzなのかクラシックなのか、何拍子なのか、滅茶苦茶なのか(そんなハズは絶対ない・笑)でも綿密俊敏に織られるピアノの音色。今までもDuoにはびっくりさせられてきたけれど、ピアノ先行型なアクロバット(決して弄んでいるのではなく)曲にチェロ&ピアノというDuoの既成概念をひっくり返すくらいなカルチャーショックを受けまひた。
古川さんのチェロは更に遠近法を伴う激しいパッセージの揺さぶりを掛けピアノを触発している感じ(もしかしたらそうしたかったのかも)ときにはベースのピチカートとも打楽器とも聴き惑う、せわしなくいじくりまくる低音、ピアノは集中力の極限とあらゆる超絶技巧を孕みエネルギーの代償である音色のすごさといいその一つ一つ綺麗な音の輪郭に生唾ごくっ。
Jazzは即興音楽なのでスコアにするということはアクロバットなのだ。まさに超人技。
オケ編成で狂気の沙汰な曲はありますが(そういう曲ではありませぬが例えです)、二人だけでです。Duoのエネルギッシュで骨太な音が確実に流れていく様にワタクシはただ唖然。
滅茶苦茶刺激的で緊張いっぱいな曲にこそ一番のロマンを感じているのは演奏者じゃないのかしらと思う色気すら伺えた。この曲を選曲なされた、どこの誰にも表現できない音楽を追求したいと更に進む情熱がいっぱいつまった渾身の音色は心の核を間違いなく射貫き離さない。 
「素晴らしい」と古川さんがふっと呟やかれた声を聴き逃しません。
チェロとピアノのDuoは他の方では聴きたくなくなりました(すみません)なほど、あぁ参りました。 拍手が起きるまで間があき、皆あぜんとしていらしたのでしょう。 
白眉はこの曲です。誰が何と申しましても文句は受付けません。
ワタクシの武者震いは間違ってはいなかった(何故に私がと再度突っ込まないでください・笑)
また聴きたい!!!!!!

しばしボーゼンにてMy Favorite things で我に返ったのはどの辺りでしょう
プログラム曲順の面白さでもあるでしょうか。リズミックでダンシングなアンサンブルが明るく軽やかな表情でとっても健康優良児な曲に聴こえました。ほっ
そしてラストを締めくくるのは、ピアソラの二曲。 アディオスノニーノ&ブエノスアイレスの冬
何回も聴いてきても飽きさせずに毎回曲の世界に惹き込まれる。どんなに疾走しても弾き飛ばすことのない。確実な指さばきと理性によるところのコントロールで内面も外面も熱い理想のバランスをお互いで創り上げている。
ピアソラという独特の破壊は付き物の音楽性、メランコリックでもロマンティックでもあり、今甦らせられるのはDuoの厳選された響きとタッチだけ。 いままでずっとピアソラと真摯に向かい合ってきた他者では決して成し得ない彼らの描く極上ピアソラの世界。
正統なクラシックにも美しさはあって、否定するのではなくそこに変わりゆく現代の空気感を注いだ生きたクラシックがあっても良い。私はもっと聴きたい。昨今さまざまな事象が崩壊し、でも新たな創造も生まれていく、時代は大きく舵を切り始めているようにも思います。崩壊と再生、そして誕生、この渾沌とした世の渦の中から音楽をも動かしつづけ新基準を生みだせる最強のDuoの音楽感性をもって独自の世界を進んでほしい。

アンコールは、次のアルバムにも収録される、塩入さんの作品 約束
ものすごく濃密なコンサートを締めくくる優しさのメロディに歌声が重なっていきました。潤いの空気が会場を優しくつつんでくださいました。
歌バージョンはsayaさんのファンタジアというアルバムに収録されておりますので、そちらも是非是非お耳になさってください。
〜魂のコラボレーション〜渾身の演奏を本当にありがとうございました。
この今に生演奏で聴かれることに心から感謝申し上げます。同じ時代に生きていてよかったわぁ。
そうそう次回のアルバムリリース記念コンサートが2014.2月17日に決定とお話がありました。
アルバムをいっぱいいっぱい楽しみに待ちます。

takako. 9.16.記

…台風の為、今夜の予定がずれまして、一気に書きました。
報道を見ては広がる甚大な被害に驚くばかりです。京都も滋賀も…
そんな中、Revueを書いていてもよいのかとの申し訳ない気持ちを感じながらです。調子付いた文字、御勘弁ください。
一刻も早い復旧を願っております。