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1月31日sat. 八ヶ岳高原サロンコンサート
"古川展生&塩入俊哉&藤澤ノリマサ レジェンド・オブ・クラシックス"
出演:古川展生(チェロ)/塩入俊哉(ピアノ)/藤澤ノリマサ(ヴォーカル)
会場:八ヶ岳高原音楽堂/長野県南佐久郡南牧村大字海の口
開演:17:00

プログラムです(※敬称略)
1.You Raise Me Up:作詞Brendan Graham 作曲:Rolf Lovland 古川&塩入&藤澤
2.アヴェ・マリア:G.カッチー二 古川&塩入
 アヴェ・マリア:C.F.グノー 古川&塩入&藤澤
 アヴェ・マリア:F.P.シューベルト 古川&塩入
 地図のない道 古川&塩入&藤澤
6.愛の悲しみ:F.クライスラー 古川&塩入
7.タンゴ組曲第2番:A.ピアソラ 古川&塩入
8.親愛なる言葉:G.カサド 古川&塩入
9.VINCERO  古川&塩入&藤澤

10.無伴奏チェロ組曲第一番ト長調BMV1007よりプレリュード:Js バッハ 古川solo
11.おくりびと:久石 譲 古川&塩入
12.追憶のオペラ:塩入俊哉 塩入Solo 作詞はコチラに掲載
13.太陽の女神 塩入&藤澤
14.永遠の人 塩入&藤澤
15.夢 古川&塩入&藤澤
16.ブエノスアイレスの冬:A.ピアソラ 古川&塩入
17.リベルタンゴ:A.ピアソラ 古川&塩入
18.希望の歌(ベートーベン交響曲第九番)古川&塩入&藤澤

encore
 ピリオド 古川&塩入&藤澤
 愛の讃歌:作詞:E.ピアフ作曲:M.モノー 古川&塩入&藤澤
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硝子窓の向こうには低い雪の山ができていました。
前回のこの時季には無かった。
今年の積雪の多さを示している。
時は流れ、巡っていきながらも 蒼白い雪の色に、静かに募る深い心をめぐらすひととき。
 
ひんやりした気持ちに熱い拍手の響きで開演を知りました。

チェロの柔らかくアカデミックな響きにYou Raise Me Upのピアノのメロウなメロディにするりと繋がっていく。
そして藤澤ノリマサさんの声は、僅かな予習(youtubeでね(*^-^)ゞ)で受け取ったイメージよりずっしりと重く穏やか。
メロメロ&ロマンティックな領域へと瞬間落ちました。
満載なところへ、サビの部分は、どど〜〜〜んとベルカント!
しかも透明な響きが見上げる音楽堂のてっぺんまで突き抜ける迫力に、
…気絶しかけました。
…繊細な王子さまがいきなりオペラの帝王へと変身したんですから。
弁明しますが、ワタクシ一曲の中でポップな歌唱と、クラシックのベルカントで歌うコンサートや曲は数多く聞いています。
ですのに、背筋がぞぞぞっ(コワい訳ではございませぬ・笑)ぶっ飛び驚きました(笑)
またオペラではスタンドマイクが多いですのでハンドマイクも新鮮です。

プログラムはコンサート後に貼り出されますので内容判らずですので、展開が更にお楽しみ。
最初から和むMCと早速のメンバー紹介の後、
アヴェ・マリア三部作とカッチーニのアヴェ・マリアをモチーフに作られた藤澤さんの地図のない道〜へと メドレーです。
カッチーニver.は古川&塩入Duoは神聖さより、温かな音色。チェロの遠近を聴く旋律の音色にも仄かに明かりが灯る情景が。ピアノの伴奏の音色は中低音で、いままでのとは違う穏やかさが滲みました。
そしてバッハの平均律に乗ったグノーver.ピアノは原曲より高いキー?なのかしら、この音楽堂の周りで新雪がキラキラ踊るようなピアノの調べに藤澤さんのベルカントの透る声。その声のヴィヴラートをすいっと薫り立たせていくチェロの音色がさりげなくエッセンスを加えていました。
シューベルトver.はチェロが謳います。ゆったり優雅な調べでした。揺らぎは子守唄にもなっちゃいそうです。
アヴェ・マリアをそれぞれのVer.で聴いたことは彼方の時空から現代へ繋ぐ伝統性をしみじみと感じさせるものとなりました。
メドレー形式で繋がってきたトリはカッチーニをモチーフにした地図のない道で締めます。
藤澤さんのポップとベルカントを巧みに歌い分ける声の表情、ポップ系にはナイーヴな心の奥底を聴き、またベルカントにはシンプルな声に、奮い立ち生きる強さが外へ出て行く、二面性の描き分けにとても興味が惹きました。

藤澤さんが一旦退出され、Duoのコーナーです。
クライスラーの愛の悲しみ
三拍子のリズムが音楽堂の上部や横へと瞬発力が自在に広がるピアノに乗る、チェロのフットワークも軽やか。悲しみでのしんみりな渋さも余韻までもきれい。様々な表情がやっぱり素敵。
あまり披露したことがないとお話なさった、タンゴ組曲第二番
鮮やかに展開を移していく調べはいとも簡単に弾かれているようにお見受けしますが、超絶技巧な曲であることは明白、さらにピアソラ独特の深々とえぐる音色での感情にぞくっとし、毎回聴きたい曲です。
ほっと一息。カサドの親愛なる言葉。チェロの伸びやかで闊達な響きにウキウキしつつ、熱いこの時間と外のひんやりした空気がふっと交わって身が引き締まる、男性的な美しさを際立たせていました。
藤澤さん再度ご登場←MCも盛り上がり一部ラストはトリオによる、VINCERO
はい、プッチーニのトゥーランドットでございまする。
のっけからピアノとチェロとでサビの部分を弾かれたものですから、藤澤さんの生声を聴いていただけに速攻イメージが膨らんで、アドレナリン急上昇〜卒倒(笑)しかけました。
壮大な広がりを見せる楽曲をチェロとピアノだけで支えている音色の重厚さ、推進力でぐいぐい攻めまくる斬新な演奏にも震えがきそう。 そこに藤澤さんのヴォーカルが立体像のように構築される。
ポップでは率直に自然体な呼吸で私たちの心に語りかけ、オペラな表現では劇的に感情移入し、ドラマティックに変わるその対比もバランスが、大きな説得力と藤澤さんの存在を知らしめるのでした。
圧巻でございました。
ブラボーの声も失ってしまうほど(いえ、会場では上がったのかもです)。
あぁスゴイ

平常心に戻る間もなく(20分程休憩時間はございました)
二部のopeningは古川さんのソロ、バッハの無伴奏
陽が落た夕闇にビロードのような余韻までも聞き取れる暖かい響き。 そして、おくりびとは塩入さんのピアノの伴奏付き。闇に月の優しい光が訪れる心穏やかな感覚に包まれる。
古川さんの、一つ一つの音色も疎かにしない行き届いた弾き振りに、自分の音色に酔っている感じがしないのね。情に溺れていないと申しますか(冷たいのではない・笑)厳しさを持った凛とした美しさを思います。
そして塩入さんのソロ、追憶のオペラ
仄暗い翳りを聴くしとやかな調べにも、暗い渦巻く社会背景を映したドラマティックなストーリー曲&圧巻の演奏でした。ピアノのペダルが離れるまで息を詰めて聴き入る気は奏者の熱意を覆っているよう。
藤澤さんがステージに来られて。追憶のオペラを歌いたい!と。しかもイタリア語で。 爆弾発言飛出しました。
ワタクシ、売野さんの日本語詞がストレートに曲の世界を語りますのでで、イタリア語Mix ver.でのポップオペラを切望しまぁす。
さあ藤澤さん主役のステージです。
太陽の女神
ピアノのイントロで、私のお父さんがモチーフの曲と気づきました。再度速攻でイメージが暴走(笑)か!
しかし女性で聴いてきましたので、藤澤さんへ集中。ポップとベルカントがくっきり唄い分けられて、ピアノ細やかなアルペジオが心の重心をニュートラルにし、ギアをすっといれたりひいたり、その上を貴公子と帝王二人のイケメン歌手がエスコートしてくださる、まさに女神さまよ(笑)ゴージャス極まりない心地に包まれました。
永遠の人
ポップスジャンルでのラヴ・バラード。もう反則!って叫びたいくらい魂ごと持っていかれてしまうほど、ロマンティックこの上ない曲です。きっちりポップのみで歌うところがニクすぎます。
"好い曲だよね〜"塩入さんも絶賛なされました。
塩入さんのアレンジ=ピアノはこういう曲でもとっても密に声と絡まっていくのですが、それとなく本能的にぐいぐいと感性を動かし藤澤さんの自発性を誘発しているように聞こえて。
トリオの時も同様ですが、これが後で藤澤さんが申された「化学反応」なのかもと思いました。

…MCで掛け合いながら起きる、化学反応もとても面白かったです。

古武道のコンサートで歌われ、このコンサートでもご披露したいと古川さんのお話から。
藤澤さんのオリジナル曲 夢
歌詞はネットで改めて見させていだだきました(^^ゞ
二人の世界より、少し離れた場所からそっと背中を押してくれるイメージも感じ、私は第三者な歌詞に励まされるタイプですので、シンプルな言葉をベルカントの強い響きは確かで、じんときました。
藤澤さんのラジオ番組で流してくださったという、ピアソラの曲をDuoで。
ブエノスアイレスの冬
Duoは水を得た魚のごとく、アクティブに全身で演奏を弾き切っておられ、厳冬も平気じゃ!と自信満々になりました。ラストに向かう滑らかなピアノの音色には雪解けの水の音色をききました。
続くリベルタンゴは、曲はご存じの方も多いので笑顔が増えていくのが解る。しっかしこのくるくる回転する速いリズム。ピアソラも笑顔になるでしょうね。
いよいよラストの曲は希望の歌〜
屈託のないポジティブな歌詞が清々しくて、藤澤さんの感性そのものなのかしらと感じつつふつふつと湧く熱いものにただただ感動しきり。鳥肌立ちまくりでした。
ベルカントでの「笑顔」の声がリフレインします、オーケストラ並みの演奏もすごすぎ。
ベートーベン交響曲第九は皆さんもちろんご存知。でも原語はさっぱりわからないワタクシ。
はい。実はオペラも同じなの。外国語の壁が大きい。オペラを聴くときは字幕スーパーが出る会場も今は多くあります。でもオペラは言葉を味わうものであり、字幕ではほんとうは意味を持たないのですよね。
そこを藤澤さんは、私たちが持つ(私だけ??)外国語の壁を、原語と日本語で楽曲を伝え深めていくいう二重の可能性に変えてくださっている。 そこにはオペラ歌手として培った表現を理解を適切に選びつつ、原語の大事なポイントを掴み深めて、さらに良いものへと生まれ変わらせていく。
とてつもない手間がかかっていることに驚かされるのです。

鳴りやまない拍手に迎えられたencoreは終止符、ピリオド
新しく一歩踏み出すために打つピリオド。前向きな曲であると藤澤さんのご説明がありました。
リセットも必要なの。その意味を聞いただけで既に私は涙目になりまして。
いえ、聴かなきゃと必死で堪えました。いえ、大声を出して泣いてみたい!との衝動に駆られるほど染み入りました。 前向きに盛り上げていく演奏に心がぐんぐん躍り、バランスの妙にトリオの心が通う音色を聴き、何気ないような情景を映すバラードが、この場では普遍的なメッセージを残す作品として心に残りました。
クロージングナンバーは、三人で選曲なさったという愛の賛歌
ポップもシャンソンのリリカルな歌い回しもベルカントも、藤澤さんご自身が歌唱法を感化しあい、その波動がチェロとピアノを刺激し固く結ばれ、響きと感情が束になって押し寄せる、大感動の嵐が吹きまくった素晴らしいフィナーレでした。

藤澤さんが愛の賛歌の曲名とともに申された一言、
「もう何千回も聞いてきた、この曲を」と。その言葉に
ここで披露なされた一曲一曲にどれほどの手間暇かけて作ってこられたのだろう。歌うことも含めて。
クラシカルクロスオーバーも同様。深め合った方たちが結ぶレジェンドオブクラシックでの化学反応はご本人達のみが知るところでしょう。(MCでの絡みあいも含めて(*^▽^*)ゞ)
その活き活きなされた表情に、私は皆さんが音楽を作ってきた道筋の中に真に自分らしい感性が一致し、実際に表現できたと感じ合う喜びが含まれているとも思います。
私自身がそう感じとれた喜びでもありました。

兎にも角にもチェロ、ピアノ、ヴォーカルのみのアコースティックコンサートなのです。
是非、多くの方に聴いていただきたいと願ってやみません。

ありがとうございました。

2月4日 takako.